おばあちゃんとオンライン・キルト  第1話 第1/4回

キルト

第1話:宇宙船地球号の非日常

第1/4回 おばあちゃんとオンラインで団欒

「あー、つまんないな!」ヨコちゃんは、妹のノンちゃんと自分たちの部屋でお勉強している。学校は感染症のために閉校中。宿題は出ているが、なかなか集中できない。

「ヨコちゃん、ノンちゃん、おばあちゃんちとお話しできるようになったから降りてきて!」お母さんから声が掛かった。妹を見ると行こうとしている。「行きますー!」

リビングに行くとテレビに長崎にいるおばあちゃんとおじいちゃんが大きく映っている。母がテレビの前のソファーで手招きして「ノンちゃんが先ね。」と妹を先に座らせ、次が私。母はソファーの前のテーブルに置いたノートパソコンを指差しながら「カメラは、ここにあって、こちらの画像は右下に小さく見えているでしょう。今の位置ならヨコちゃんもちゃんと入っているでしょ。分かった?じゃあ、おじいちゃん、おばあちゃんにご挨拶しなさい!」

Preset Style = Vibrant Lightness = Darker Size = Jumbo Border = No Border

挿絵1:テレビでお話し:おばあちゃんの後ろには大きなキルトが飾られてある。

「おじいちゃん、おばあちゃん、元気?」ヨコちゃん、ノンちゃんは手を振りながら、挨拶した。「あらら!賑やかね!元気そうで何よりだね。長崎より神奈川の方が感染数は多いんだから、そっちらこそ、気をつけてね!」おばあちゃんの声も良く聞こえた。それからしばらく、いろいろなお話をしていると、母が、「折角だから、今どんな生活をしているか、これからどんなことをしたいかを、簡単にまとめて話してください。先ずはヨコちゃんからね。ノンちゃんも考えていてね。」と言い出した。

「私は4月で5年生になりました。でも、学校に行けないので、宿題をしています。そして、午後から運動公園に散歩に行っています。それから、また、宿題です。これからしたい事は?そうだ!5年生から家庭科が始ります。おばあちゃんの後ろにあるようなキルトを作ってみたいと思ってます。」「えらく簡単ね、今の生活としたい事は話したから、いいか!おばあちゃんから質問はありますか?」と母が言うとおばあちゃんから「ヨコちゃん、本当にキルトを作りたいと思っている。」と質問が来る。「おばあちゃん、本当よ。今年の1月、東京ドームでおばあちゃんのキルトの授賞式を見に行った時にすごいなーと思ったの。5年生になって裁縫が始まったら、ぜひ、作りたいと思っていたの。」母から横やりが入る。「おばあちゃん、止めてね。私は手伝えないからね!その話はなしにして、ノンちゃんもお話ししてください。」

<<おばあちゃんからの小包>>

それから2週間ほどして長崎から小包が届いた。母に聞くといつもの鯉菓子が届いたと言っていた。夜には母が長崎に電話をしていたようだ。次の朝、母がパソコンをテレビに接続していたが、何も言わないので、宿題するために自分たちの部屋に行った。しばらくして母が「ヨコちゃん、ノンちゃん、おばあちゃんがお話したいからって、降りてきて!」降りていくとおばあちゃんがテレビに映っているので、前回と同じようにノンちゃんと座った。「おはよう。前の時にヨコちゃんがキルトを作りたいと言ってくれたけど、縫い物は、まだ出来ないから、縫い物以外でお手伝いをしてもらおうと思うの。お母さん、私が送ったものを二人に見せてあげて!」

挿絵2:送られてきたもの:絵入りの布地、正方形のハギレ10色、布地用のり、手紙

「おばあちゃんが説明するね。これは、おばあちゃんが前から作りたいと思っていたキルトの材料。布は幅40cm縦55cm、2つの絵があるでしょ。覚えてる?これはあなたたちが描いて送ってくれた絵を使って作ったものよ。」「覚えてるよ。上のは私の絵で、ガールのキャンプファイヤーの絵よ。2年前だっけ?楽しかったわ!下はノンちゃんがおじいちゃんとおばあちゃんを描いた絵。」

「そうそう!これを使って、キルトを前から作りたいと思っていたの。次に正方形の小さな布があるでしょ。これは10色あるの。さっきの絵の間に隙間があるでしょ。ちょうど4枚の正方形を入れると、これを埋めることができるのよ。キルト用のりは布をくっつけることができるのよ。そして、手紙にある絵を見て下さい。」

挿絵3:お手紙にあった絵

「貴方たちにお手伝いしてもらいたいことは、絵と絵の間のデザインを考えてもらいたいの。手紙にある絵は、例えば、こんなのはどうかなと、おばあちゃんが考えたものよ!デザインを考える時は流れ、お話しを考えるのよ!4つの区画があるでしょ、これを1年の季節の流れ、春夏秋冬と考えて、台になる色を決めたの、春は萌黄色、夏は太陽の黄色、秋は澄み切った空色、冬は寒そうな濃い青。そして、台の上に簡単な形を季節に合わせて考えるの。この絵では春は花、夏は恋、秋は満月、冬は雪にしました。ハートはちょっと、貴方たちに説明するのは恥ずかしいわ!でも、この形はできるだけ簡単なものにしてね。ヨコちゃん、私がして欲しいこと、判った?」「おばあちゃん、分かったわ。絵と絵の間に入れる正方形の色とその上の形を考えれば良いのね。」「そうよ。正方形が4枚置けるの。その4枚の色の順番とその上に置く形よ。縫い物はやってもらえないけど、デザインを作る時にどんなことを考えるかをやってみてもらいたいの。そして、考えたものが形になっていく面白さを知ってもらえたら、おばあちゃんも嬉しいわ!」ということで、デザインの元になるお話し、色の並び、形を考えることになり、出来たらテレビで、また、会うことになった。

絵を入れたキルトを作成してみませんか!

<<第2回に続く>>

これで第1回は終了です。ヨコちゃんはどんなデザインを考えるのでしょうか?次回を楽しみにして下さい。 なお、この物語はフィクションです。

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